前髪が割れる、つむじがぱっくり分かれる、襟足が浮いてしまう──。
このようなお悩みを抱えるお客様は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、その原因が「くせ毛」なのか、それとも「生えグセ」なのかを正しく理解できている方は意外と多くありません。
似ているように見えるこの二つですが、原因は大きく異なります。
そのため、お客様のお悩みを改善するためには、それぞれの特徴を理解し、原因に合わせた施術を選択することが重要です。
今回は、美容師が知っておきたい「生えグセ」と「くせ毛」の違いについて解説します。
エンジェリックケアでは、このような毛髪の方向の乱れを「毛髪乱生」という考え方で捉えています。
例えば、
・前髪が左右に割れる ・つむじが割れる ・襟足が浮く ・トップがつぶれやすい ・サイドが膨らみやすいこれらは、毛髪の方向や角度、毛流れ、毛髪乱生が影響しているケースが多く見られます。
このような生えグセは、カットだけでは改善が難しい場合もあり、毎朝のスタイリングに時間がかかる原因となることがあります。
毛髪内部の構造や毛髪の形状の違いによって、
・うねる ・広がる ・まとまりにくいといった症状が現れます。
つまり、生えグセは「根元からどの方向へ生えているか」、くせ毛は「毛髪そのものの形状」が大きく関係しているという違いがあります。
エンジェリックケアは、縮毛矯正のように薬剤を用いて毛髪内部の結合を化学的に変化させる技術ではありません。
専用のACコームで毛髪の根元へ適切にアプローチし、毛流れや毛髪乱生を整えることで、生えグセを改善へ導く技術です。
エンジェリックケアには、理論を応用した発展技術もあります。「ヒートAC」では、熱を利用して毛髪内部が一時的に動かしやすい状態になるという毛髪科学の考え方を取り入れ、根元の毛流れや生えグセへ、よりアプローチしやすい技術として開発されています。
それぞれ目的や施術方法は異なりますが、いずれも薬剤で毛髪内部の結合を化学的に変化させる縮毛矯正とは異なる考え方に基づいた技術です。
そのため、薬剤やハサミを使用せず、生えグセせに着目した新しいアプローチとして、多くのお客様にご提案いただいています。
実際には、生えグセとくせ毛の両方が影響しているケースも少なくありません。
だからこそ、美容師には髪質だけでなく、毛流れや毛髪乱生まで観察する視点が求められます。
原因を正しく見極めることで、お客様一人ひとりに合わせた最適な提案ができるようになります。
その中で、「くせ毛だと思っていた悩みが、実は毛髪乱生による生えグセだった」というケースを数多く経験しています。
例えば、サイドのハチ部分は、毛髪が根元から外側へ向かって生えていることでボリュームが出ている場合があります。
このようなケースでは、広がりを抑えようとして根元付近にスキバサミを入れると、短くなった毛髪が立ち上がり、かえって広がりやすくなってしまうことがあります。
また、前髪の割れは、生えグセが原因となっている場合、縮毛矯正によって毛髪は真っすぐになっても、根元からの毛流れ自体は変わらないため、割れの改善が難しいケースも少なくありません。
私はこのような経験を重ねる中で、「毛髪そのもの」だけではなく、「根元の方向・角度・毛流れ・毛髪乱生」に着目することの重要性を強く感じました。
そして、日々研究した結果、エンジェリックケアが誕生しました。
エンジェリックケアは、根元からのボリュームや前髪の割れ、つむじ割れ、襟足の浮きなど、生えグセに着目してアプローチする技術です。
一方で、くせ毛によるうねりや広がりを改善したい場合には、縮毛矯正が適しているケースもあります。
つまり、どちらが優れているということではありません。
お客様のお悩みや目的に合わせて技術を選択し、それぞれの特長を活かすことが大切だと私は考えています。
実際には、縮毛矯正とエンジェリックケアを組み合わせて施術することで、それぞれの長所を活かした相乗効果が期待でき、お客様の満足度向上につながるケースも多くあります。
美容師がお客様の悩みの原因を正しく見極められるようになれば、これまで解決が難しかったお悩みに対しても、新たな提案ができる可能性は大きく広がると私は信じています。
エンジェリックケアは、毛髪内部の形状を変える技術ではなく、毛髪の根元に着目し、毛流れや毛髪乱生へ物理的にアプローチする技術です。
美容師がこの違いを正しく理解することで、お客様一人ひとりの髪の悩みに、より的確な提案ができるようになります。
これからの美容師には、髪質だけを見るのではなく、「根元からどのように生えているのか」という視点も欠かせません。
その視点を持つことが、お客様の悩みを解決する新たな一歩につながると私は考えています。